設楽明志さん

設楽明志さん

つくっているもの

トマト、キュウリ、モモ、スイカ、マクワウリ、カボチャ、ニンジン、ダイコン など

食への興味が原動力 野菜や果物本来の素朴なおいしさを追求

約2ヘクタールの畑と10反の田んぼからなる広大な農地を夫婦2人で管理する設楽明志さん。夏はトマトやキュウリ、モモ、スイカ、マクワウリ、秋から冬にかけてはカボチャやニンジン、ダイコンなどを栽培し、季節ごとの多種多様な野菜や果物に囲まれながら農家の暮らしを楽しんでいる。

代々農業を営んできた設楽さんの実家では、かつては養蚕とこんにゃく芋の生産が事業を支え、両親の代でハウスや露地栽培の野菜へと移行。会社員だった設楽さんが脱サラして家業を継いだのは50代も半ばになってからだった。

昔から食べることが大好きで、おいしい野菜や果物に出会うと「どうやって作るんだろう?」と興味津々だったことから「将来的には農家を継ぎたい」と心に決めていたという設楽さん。サラリーマンをしながら週末には趣味の範囲で農業を楽しみ、当時からモモやカボチャ、スイカの育苗に取り組んだ。50代に入りヘルニアを患い、その数年後には記録的な大雪でハウスの倒壊を経験したことが、農業に本腰を入れる転機となった。

「栽培ノウハウはほとんどが独学です」。自分なりに試行錯誤を重ね、今は有機質の肥料を用いた人と作物にやさしい栽培方法にたどり着いた。「基本的には蟹ガラなどの有機肥料を撒き、果樹に関しては除草剤も不使用。ミミズを食べにきたモグラが穴を掘ることで、土が酸素を含んでフカフカになる。日ごろからそうやって土づくりをしています」と話すように、自然に則した農法が設楽さんの滋味豊かな野菜や果物を育んでいることがわかる。

農業歴は6年とまだ浅いが、サラリーマン時代から大切に苗を育ててきたモモやスイカは特に自信作。大きく枝を張るモモの木は既に10年目を迎え、「昨年は長雨で、お天道様があまり出なかったにもかかわらず、出来栄えは今まででいちばんおいしいと好評でした。10年かけていい土ができた証拠ですね」とほほ笑む。品種はふくおとめ・ちよまる・友黄といった黄桃から、ちよひめ・ちよまる・はなよめといった白桃まで全部で20種類以上を手がけ、初夏から秋口までの収穫最盛期は大忙しだ。また、スイカは一般的に病害虫から守るためウリ科の植物に接木することが多いというが、ここではずっと「自根」での栽培を実践。「根っこまでが純粋なスイカだから、本来の甘さや味を感じられておいしいですよ」とこだわりを見せる。

自然のままに育てるということは、病気や天候、野生動物などの天敵が多く苦労が尽きない。それでも「難しいから面白い」と苦労も楽しむ生き生きとした姿が印象的だった。

設楽明志さん

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