富沢真英さん

富沢真英さん

つくっているもの

キュウリ

一大産地との差別化を図る、味にこだわったキュウリ作り

ナシやプラム、ウメといった果樹栽培が盛んな榛名地域では数少ない施設栽培のキュウリを専門とする富沢真英さん。皮が薄くてやわらかく、みずみずしくてえぐみの少ないキュウリ作りにこだわり続けて20年になる。

祖父の代から続く農家に育った富沢さんだが、父の代で始めたキュウリ栽培を継ぐまでは海上自衛隊、花き市場、花屋などの職種を経験。多彩な経歴を経て30歳目前で就農し、現在は300坪と600坪の大型ハウスを交互に回しながら、年間を通して安定したキュウリの生産を行っている。

おいしいキュウリを育てるためには、まずはキュウリ本来の自生力を高めることが重要だ。富沢さんのハウスでは、こまめな土壌分析により土の栄養過多を防ぐ引き算の考えを大切にしている。そうすることで植物がしっかりと土に根を張り水と肥料を吸い上げるため、食味はもちろん全体の収量やA品率が向上するのだと教えてくれた。

また「質より量が求められた父の時代とは違い、核家族化が進む近年は量より質が求められる時代。消費者のニーズにあわせて、今は新たな栽培方法や品種を試しながら、品質を追求しています」と戦略を話す。量販店に並ぶキュウリは棚持ちを重視して皮が厚くて歯ごたえのある品種が採用されることが多く、なかにはえぐみや青臭さの強いものもあるという。一方で、食味の良さにこだわる富沢さんのハウスでは、皮がしなやかなで味はみずみずしくてえぐみの少ない品種を手がけることで差別化を図ってきた。おいしさへの取り組みは評判を集め、長年地元の給食センターや自校式給食の小・中学校へ自慢のキュウリを納入し続けていることが富沢さんの誇りだ。爽やかな味わいは飲食店からの評価も高く、市内には富沢さんのキュウリを用いたカクテルを提供するバーもあるという。

昨年はいくつかの新品種を試験的に導入し、そのなかで出会ったのが光華やグリーンフラッシュといった品種だった。来シーズンはこの理想的な2品種を主力に生産に取り組んでいく。「これからも自分で食べてみておいしいと思ったものを作り続けたいですね」。

富沢真英さん

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